Bebop Spoken Here ハシャ・ス・マイルスCD評

Published Date:
Thursday, October 15, 2015
http://lance-bebopspokenhere.blogspot.co.uk/2015/10/cd-review-racha-fora-racha-smiles.html

説明書きに『ジャズインプロとネイティブなブラジルのリズム、ボストン発のグルーヴするハイブリッドミュージック』っとあり、一瞬引いてしまうような印象を与えるが、全くそのようなものではなかった。このマイルス・ディビスに捧げたアルバムは実に素晴らしい。他に例を見ないフルートとバイオリンで構成されるフロントラインとブラジリアンのリズムセクションとの組み合わせは良い結果を出している。

6曲マイルスのオリジナル(マイルストーン、ブルー・イン・グリーン、オール・ブルース、サークル、セブン・ステップス、トゥ・ヘブン)、2曲ウェイン・ショーターのオリジナル(E.S.P.、フットプリンツ)、そして4曲ホンシュクのオリジナル(フェザー・ルー、チキン・ドン、ドア8、ウッド・ロー)、すべて独創的な処理が施されている。メロディックで、時には叙情的だ。ホンシュクの演奏するフルート、アルトフルート、ピッコロ、そしてあの奇怪なモンスター、エレクトリック・ウインド・インストルメント(EWI)はどれも素晴らしい。ホンシュクは故ジョージ・ラッセルに学び、ラッセルのリディアン・クロマチック・コンセプトを理解し、その理論を実践する数少ない者の一人である。フロントラインのパートナーであり、同じ日本人ミュージシャンであるリカ・イケダは並外れたバイオリン奏者で、グラッペリ風だが現代的なアプローチをする。ブラジル人ミュージシャンたちは自国のグルーヴを提供し、ブラジル音楽はボサノバだけではないことを明示する。アンドラージのナイロンギターによるソロは特筆すべきである。マイルス・バンドに参加していたディビッド・リーブマンは3曲に参加しており、マイルスがこのアルバムと共にあることを確信させる。
ーランス