ハッピー・ファイヤー、City News CD評

2018年2月14日

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ジャズ界にはジャズ・スタンダード・ソングで埋まっているアルバムが豊富だ。ジェローム・カーンの「オール・ザ・シングス・ユー・アー」やガーシュインの「サマータイム」のような曲が文字通り何千とある。だが、ヒロ・ホンシュク率いるハシャ・フォーラのようなサウンドでこれらの名曲が演奏されたのを誰も聞いたことがないと筆者は確信する。ホンシュクは素敵にワイルドな日本のフルート名人で、彼が近年活動しているバンドはかなり普通でないジャズ・フージョン形式だ。パンクロックのようにほとばしる音楽は、このアルバムのタイトルの前半『ハッピー・ファイヤー』にマッチし、後半である『ニュー・カインド・オブ・ジャズ(新世代ジャズ)』も納得せざるを得ない。
効果を上げている理由のひとつは特異な楽器編成だ。パワフルなバイオリニスト、リカ・イケダ。クリエイティブなギタリスト、アンドレ・ヴァスコンセロス。そしてハービー・ウィルトとセバスチャン “Cバス”チリボガがカホンで入れ替わりに登場する。だが効果を上げている最も重要な理由は、マイルスの『ナルディス』や、エリントンの『イン・ア・センチメンタル・ムード』や、フランク・チャーチルの『いつか王子様が』などの名曲の奇抜なアレンジだ。 もし読者のお気に入りのジャズ・スタンダードを新鮮に聴きたいなら、『ハッピー・ファイヤー』を是非聴くべきだ。